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「大切なものとは何か」話し合う
「2013全国真宗青年の集い熊本大会」に全国から330人が参加

本願寺新報 2013年11月1日号より転載

「大切なものとは何か」話し合う「2013全国真宗青年の集い熊本大会」に全国から330人が参加

 全国の仏教青年が集まり、学びと親睦を深める「2013全国真宗青年の集い熊本大会」が10月12、13日、仏教青年連盟総裁の新門さまご臨席のもと熊本市のくまもと森都心プラザを主会場に開かれた。

 大会テーマは「本当に『大切にする』ということ」、開会式では新門さまがお言葉を述べられた。参加した330人は、匿名で新生児を預ける「こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)」を題材にした基調講演、パネルディスカッション、グループディスカッションで、〝本当に大切にする〟ということの意味を掘り下げていった。
 グループディスカッションは33グループに分かれ、
(1)ゆりかごは利用者だけの問題か?
(2)ゆりかごと自分との関係は?
(3)大会前の自分が持っていたイメージと今の自分の考えはどう変化した?
の3つをテーマに話し合った。

 各グループに熊本教区のスタッフ1人が入り、司会進行役を務めた。1年以上前から毎月のように事前学習を重ねてきたスタッフの巧みな進行に、涙しながら思いを語る参加者もいるなど、真剣な話し合いが行われた。
 「熊本県内ではよくニュースになるが、全国的にはゆりかごのことが知られていないことにびっくり」
 「2歳の子どもがいる。講演の『子どもと2人だけで3時間いると狂気になる』というシングルマザーの言葉がよくわかる」
 「女性なら誰でも一度は、シングルマザーになるのではないかと考えると思う。何が起こるかわからない世の中。他人ごとではない」
 「講演の田尻さんの話を聞いて胸が痛くなった。いろんな葛藤の中、悩んだ末に預けることで子どもの命が救われると考えたら、本当に必要なもの。これまでの私の考えは軽かった」
 「望まない妊娠の中には性犯罪被害も。どうすればそのようなことのない社会になるかということも考えていかなければ」
 「お寺を開放し、お母さんたちが悩みを相談できる場にすることで、問題を減らせるのでは」
 「私たちは今ゆりかごについて勉強したのだから、周りに伝えていくことで正しく広まっていく」
 「私は教員になりたいので、将来こういう施設があることを伝えていきたい」 ゆりかごを自身の問題として考え、青年たちは多くの意見を交換した。
 閉会式で仏青連盟の濱本信太郎中央委員長が挨拶。「ここで一つの答えを出すことは難しい。それよりも大切なことは、仏縁で集まった全国の仲間とこの問題について考えることができたこと、そして、各地域のことを知ることができたことではないでしょうか。我々仏青のメンバーがそれぞれの地域に帰って、自分たちの地域でできること、足りないことを率先して改善していけば、1人でも多くの人が幸せになるのでは。皆さん、この仏縁を大切に、明日からも活動に励みましょう」と呼びかけた。

基調講演:「こうのとりのゆりかご」が見せた社会

熊本市・慈恵病院看護部長 田尻由貴子
基調講演:「こうのとりのゆりかご」が見せた社会

 ゆりかごは、さまざまな事情で赤ちゃんを育てられない親が、追いつめられて子どもの命を奪ったり、置き去りにして死なせたりするのを避けるために匿名で赤ちゃんを預けることができるシステム。今年3月末までに92人が預けられ命が救われた。
 このシステムのほか、慈恵病院は5人で24時間無料電話相談を行っている。この事前相談により、ゆりかごの3倍の命が救われている。この事前相談こそがゆりかごの本来の目的。ゆりかごに預けることを世間では「育児放棄」と責めるが、私は責めることができない。愛情があるからこそ、全国から熊本まで預けに来る。生活困窮、内縁、不倫などのやむにやまれぬ理由の裏には、貧困や差別などの社会的要因が隠されている。
 慈恵病院の蓮田太二理事長は「愛の反対は憎しみではなく無関心だ。私も傍観者であった」と話され、ゆりかごを設置された。今日、ゆりかごのことを知った皆さんも、一人一人の問題として受け止めてほしい。私の望む社会は、小さな命を守る社会、子どもたちが生き生きできる社会。家族、地域社会がつながりを重んずる社会になれば、ゆりかごに預けられる子どもがいなくなり、ゆりかごは「シンボル」としての存在になる。
 私は浄土真宗の門徒であり、活動の原点は篤信な祖母に大切に育てられたことにある。全国からどんなに批判されても慈恵病院が続けてこられたのは、キリスト教の愛と献身の精神から。仏教には慈悲の心がある。本願寺派の教団としての取り組みに期待している。
 ※「こうのとりのゆりかご」のドキュメンタリー番組が11月17、18日、NEWS23で放送される。23日には「報道特集」で特別養子縁組が取り上げられる。また、25日にはドラマ「こうのとりのゆりかご」を放映。いずれもTBS系列(放送日は予定)。

パネルディスカッション

パネルディスカッション

 田尻さんの基調講演を受け、パネルディスカッション。パネリストは、田尻さん、東京大学名誉教授・上野千鶴子さん、作家・雨宮処凛さん、宗門関係の筑紫女学園大学教授・栗山俊之さん。コーディネーターは筑紫女学園大学講師・宇治和貴さん。
 宇治さんが「ゆりかごは、子どもを捨てることを助長する施設ではない。背景にある貧困、性差別、そして、『普通』『常識』『当たり前』という私たちの観念によって一部の人を排除するという社会に問題がある」と趣旨説明。
 性差別の観点から上野さんがゆりかごに子どもを預ける理由の1つである「望まない妊娠」を取り上げ、「男が避妊に非協力的な現実がある。中絶、子捨て、子殺しをしたくてしている女はいない。女ばかりを責めないでほしい。もう一方の当事者である男が責任を取らず、『母子を遺棄』している。日本は男にとても甘い社会。シングルマザーが安心して子育てできる社会の仕組みを作らなければならないが、逆方向に進んでいる」と語った。
 貧困について雨宮さんは「ゆりかごの利用理由に経済的困窮が挙げられる。日本は先進国の中で最もシングルマザーが生きにくい国で、貧困率は50%超。大阪で母親の育児放棄により2児が餓死した事件があった。風俗、ホストと事件の表面だけを見て非難するのではなく、そうせざるを得なかったその背景にある生活の問題を見ていかなければならない」と語った。
 栗山さんは僧侶の立場から「現代は、自分さえよければという『煩悩むき出しの時代』。そんな生き方をしている時に、自分を尊いと思えるのか。自分を尊いと思えない人は、他の人を尊いとは思えない」と話した。
 意見交換で雨宮さんは、貧困問題解決のためには自分を「大切にする」ことが重要になると指摘。「自己肯定感、つまり自分を大切にする思いと、それに加えて社会への信頼がなければSOSを発信できなくなる。しかし、利益を生み出せない人間は生きる資格がないぐらいの価値観が世の中で幅を利かせ、自己肯定感を持てなくなっている。ブラック企業、非正規雇用などの問題を考えると、今の日本で『大切にする』というのはとても難しい」と語ると、上野さんも「大切にするには、大切にされるという経験が必要。『やめて』と言えない相手には、本当は大事にされていないと素直に認めることも大切」と意見を加えた。
 さらに田尻さんが「預けられた子どもが自尊感情を持つには、自分を大切にして育ててくれる人がいることが大切。だから、預けられた子どもが特別養子縁組されて特定の親に育てられることがとても重要」と語るなど、社会的課題の解決に「大切にする」がキーワードの1つであると明らかにしていった。
 最後に宇治さんは「社会を作っているのは私たち一人一人。実は、私たち一人一人が弱い人を作っているのではないか。そういう人を生み出す方に、無意識のうちに加担しているのではないか」とグループディスカッションに向けて問いかけ、締めくくった。

仏青大会支えた2人

仏青大会支えた2人

 熊本教区仏教青年連盟の徳増芙美委員長(27、写真右)と真宗青年の集い大会実行委員長の杉本真樹子さん(26、同左)。1年以上前からの準備を振り返りながら、「スタッフが一丸となって、作り上げた大会。『参加して良かった』という声を聞くと素直にうれしい」。
 「私たちは『本当に大切にする』ということを他人の痛みを自分のことのように考えることと捉え、自利利他の精神と考えた。生活の中で『普通』と思っていることは本当に普通なのか。本当は自分の価値観のみで普通と判断しているのではないだろうか。私たちは知らないうちに人を差別したり、強者の立場で弱者をいじめたりしている。でも、いつ自分が逆の立場に立つかわからないし、決して他人事ではない。そのことに気付き、広まっていけば、心豊かな社会になっていくのでは」と語った。

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浄土真宗本願寺派寺院活動支援部(組織教化担当) 仏教青年連盟事務局 浄土真宗本願寺派寺院活動支援部(組織教化担当) 仏教青年連盟事務局
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